思うままに


by abdulmajid0922
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

『私の中の三島由紀夫』読後感の巻

〈1〉
帯文『1970年11月25日。運命のあの日、 私は楯の会会員とともに警察署の取調室の中にいた。』

この後、何が書かれているのかたいへん興味を唆られた。

読んでみると......
..,記憶はぷっつり切れて....四谷署だか新宿署だかの取調室にいて、どうしてそうなったのかさっぱり記憶はない....。


まったくもって格好の悪いこと。

読者は大いなる失望である。

〈2〉
石原慎太郎は老醜を晒して、ベストセラーを出して金儲けをして醜さが余計に目につくという記述があります。


巷の女の愚痴、嫉妬、ひがみを織り交ぜた話しを聞くようで読むに堪えない。

石原慎太郎へのルサンチマンという言葉が浮かぶ。


この後随所に見られる執諄い金の話。


またかと思うほど金に苦労する物語を綴り数々の名作を残した夏目漱石を思い出します。


ふる古賀の近況が書かれており、
嬉しいエピソードがある。


〈3〉
ーあとがきーについて

烏滸がましいことではありますが、
松岡剛のみならず

徳岡孝夫著
『五衰の人ー三島由紀夫私記ー』
(1996年 文藝春秋社 第10回新潮学芸賞受賞)から

胸にぐっとくる部分があります。

当時サンデー毎日の編集次長徳岡孝夫に三島由紀夫が言うのです

...,,
「ぼくは太宰治が大嫌いだけど、これほど嫌いなのはやはり似たところがあるからなのかなあ」....


ふる古賀、ちび小賀、小川の三人は現行犯逮捕されパトカーで連行された後、
駐屯地を出ようとする徳岡孝夫の目にしたものは....文中より

.....「数人の職員がバレーボールをしているのを見たのだった。

女性が四、五人、男も一人か二人いた。

それは平和な平和な日本の、これ以上は平和であり得ない、素晴らしい景色だった。

吐き気がした。」.....

e0322201_15022462.jpg

画像:今日の札幌駅前通り方面の風景

三島由紀夫著『夏子の冒険』より

.....快晴の午前の駅前通りの靴磨きに靴を磨かせた。
午前の日はすでにやや暑かった。
札幌の靴磨きは夏のあひだ日傘のサービスをする。.....

〈4〉
『私の中の三島由紀夫』を読みながら蘇ってきた記憶がある。

すすきのでバーを経営していた頃、全国版の情報誌の取材があり顔写真がその雑誌に掲載されたあと、楯の会会員だったと云うその雑誌読者から電話があった。

その後手紙が届き、ある時は赤い褌姿の写真が届いた。

数カ月後、遠路はるばるその男は友達だという男を伴いバーにやって来た。

山ほどある質問事項を胸のうちに整理して、ご対面をとても楽しみにしていたがその男は既に酔っていた。

小柄でよかにせの酔ったその男はとろんとした目付きでまるでスクリーン上のウッディ・アレンのようによく喋った。

お国訛りは感じなかった。

初の店の不安や緊張を隠すためにひっきりなしに喋る客の型である。

そのよかにせは東京で大学時代を過ごした。

大学の先輩を好きになり、勧めれられて「楯の会」に入った。

そうしてやがて六尺褌を覚え好きになったと言う。

楯の会以外の自分の身の上話は暫く止まらなかった。

周りの客に憚かることなく自宅から携えてきたお土産をバーカウンターの上に広げた。

お土産の中にはダビングしたカセットテープが三つあった。

・三島由紀夫と徳大寺公英とがレストランで食事をしながらカシャカシャ食器の触れる音が会話と一緒に入って学生時代のことなど昔ばなしを語り合う内容のテープ。

対話の中で中村真一郎の名前が出ていました。


・『英霊の聲』から

三島由紀夫自らが朗読する
「などてすめろぎはひととなりたまひし」

・「楯の会」の合唱曲
「起て!紅の若き獅子たち」を録音したテープ。

EPレコードジャケットの写真のカラーコピーの中に写る白皙の青年ちび小賀の美形に目を瞠ったものです。

お土産はとてもありがたいものばかりだったが、質問は上手にそらし全然答えなかった九州男。

訊いたことの返事はあやふやでその男のバーから出たあとではあったが一応眉毛に唾を付けた。

e0322201_15022461.jpg

画像:今日の狸小路の風景

『夏子の冒険』より

....二人が狸小路をぶらぶら歩いて、
映画を見たり、中食を食べたりして...


紙コップのコーヒーにすっかり慣れてしまった今日。

磁器に注がれた珈琲を飲むとその価値とありがたみにすっかり感動して仕舞う今日。

青空文庫にすっかり慣れてしまった今日。

『私の中の三島由紀夫』で頁をめくりめくり超久しぶりの読書体験を楽しむ今日。


老いたる身の上
読後、『私の中の三島由紀夫』を室内で温蔵していては何の価値もないので図書館に寄贈した。

よろこんでくれる方がいるだろう。


ーENDー

[PR]
by abdulmajid0922 | 2017-04-10 14:47 | Comments(0)