思うままに


by abdulmajid0922
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夏目漱石「漱石の磁器通」の巻



不動貯金銀行 ニコニコ倶楽部発行の雑誌『ニコニコ』(第卅五號)
1913年(大正2年)12月1日発行に掲載されました。


夏目漱石(1867-1916)と津田青楓(1889-1976)との滑稽な会話です。

ー文藝笑話ーより

夏目漱石「漱石の磁器通」


お年の加減は爭はれないもので
近頃逍遥博士は書に凝り出し西洋文學通の孤蝶氏などが机の周囲に盆栽を一杯並べて眺め入つて居るなど思ひも附かない圖だが、猫の漱石先生なども近來益々骨董好きになつた。

此の間も訪ねて來た津田春楓(つだしゅんぷう)氏を對手に近頃掛け替えになつた表慶館の繪を品評して、宗達の竹は實に巧みなものだとか、岸駒の書も案外見られるとか云つてゐたが、『君、あの下に妙な格好をした壺があつたらう、あれは實に好いね、誰れかあれをうまく模造してくれるものはないだらうか』
などゝ話してゐる内に、
『あすこに交地のものが澤山あつたが、僕は交地のものは好かない』
と云ふと春楓氏、
『先生あの壺も交地のものですよ、』

『さうぢやないだらう、全くさうかね。
イヤ、ありや別だ。
ハ....,,』




:「漱石の磁器通」:

(出典:『ニコニコ』ー第35号ー:モダン周遊)

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画像:表慶館(重要文化財)

大正天皇の御成婚記念に国民から奉納された美術館。
竣工/明治41年 設計/宮内省 片山東熊


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by abdulmajid0922 | 2017-04-15 17:10 | Comments(0)