思うままに


by abdulmajid0922
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吉田修一『橋を渡る』読後感 の巻

上野公園、神宮外苑等、都内の名所がふんだんに登場し東京都民にとっては臨場感溢れる世界が展開され、読者サービスに富む娯楽性豊かな作品です。

会話に出てくる地下鉄の千駄木駅からは、団子坂を連想し、森鷗外、夏目漱石ゆかりの地を逍遥したことを思い出しました。

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妻から

「....バカじゃないの?」と言われた夫の語りは

「....長年一緒に暮らしてると、奥さんっていうのは旦那のことがうっとうしくなるらしい。

家で大きなクシャミされるだけでも殺意覚えるって。.....

結局、結婚生活なんてどっちかが我慢して初めて成立するもんだし、とすれば、我慢なんて現代の人間が一番不得意で、できるわけないんだし、結局、.....。」


著者自前の結婚観を述べているようです。


.....男が響に抱きついてきた。


.....響は謙一郎の膝に手を置いた。


ラスト一行に本作最高の美の世界が表現されています。

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画像:所 幸則『EINSTEIN ROMANCE』

氏の写真に音をつけるなら
シド・ヴィシャスが唄う♪マイ・ウェイがよく似合う。



いつの時代にも現代語があります。

文中より

「サンドイッチ、これしか残ってなかったっすけど」

「なんすか?」

「今日は観光っすか?」


明治時代の現代語は、

夏目漱石『門』1910年(明治43年)
朝日新聞の連載小説

......
「あなたそんな所へ寝ると風邪引いてよ」と細君が注意した。

細君の言葉は東京のような、東京でないような、現代の女学生に共通な一種の調子を持っている。.....(青空文庫)

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チューリップが咲く
上野公園 東京国立博物館前の噴水広場

本館を望む左手に法隆寺宝物館があります。

撮影日:2016年1月3日 気温21℃

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吉田修一『国宝』2017年(平成29年)朝日新聞小説連載中

題字には意味深長な二つの「玉」を強調し読者には頽廃的な薫りを感じさせ、
あまつさえ文豪谷崎潤一郎が偲ばれる語り口なのでござります。

著者でさえわからぬのに読者は今後の展開を自分の好きなように勝手な想像をしてしまう。
莫迦みたい。


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by abdulmajid0922 | 2017-05-01 11:50 | Comments(0)