思うままに


by abdulmajid0922
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

<   2017年 05月 ( 4 )   > この月の画像一覧

ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』1881年(明治14年)より


第二部

第四編 激情の発作

一 フェラポント神父

フェラポント神父とオブドールスクの聖シリヴェストルのささやかな僧院から来た修道僧との会話より


「...,なにか聖霊とたえず交渉をおもちだとかいう大変なお噂が遠い国々にまでとどいておりますが?」

「飛んでくるぞ。ちょくちょくな」

「どうやって飛んでまいります?
どんな姿で?」

「小鳥になってじゃ」

「鳩の姿の聖霊でございますか?」

「聖霊だったり、精霊だったりする。

精霊は別もので、これは鳩以外の小鳥になっておりてくることもある。

あるときは燕に、あるときはかわらひわに、あるときはやまがらになっての」

「やまがらが精霊だってことがどうしておわかりになります?」

「口をきくからじゃ」

「どんなふうに口をきくんです、どんな言葉で?」

「人間の言葉でじゃ」

「あなたさまにどんなことを言います?」

「きょうはこんな知らせがあったぞ、ばかが訪ねてきて、下らんことを聞くとな。

まったくお前はいろんなことを聞くやつじゃのう」

「これはまたおそろしいお言葉で、神父さま」と言って修道僧は首をふった。
......

(豪華版 世界文学全集ー14
ドストエフスキー『カラマーゾフ兄弟』
北垣信行訳 講談社 1976年)

e0322201_11213474.jpg

画像:M.C.エッシャー
『小鳥に説法する聖フランシス』
板目木版 50.9×30.7cm 1922年
ハウステンボス美術館

偉大な苦行僧フェラポント神父へ質問する修道僧との会話から、ふと昨年展覧会で観たエッシャーの絵が浮かんだのです。

[PR]
by abdulmajid0922 | 2017-05-28 11:18 | Comments(0)

ヤマブキ・山吹 の巻

e0322201_10091688.jpg

八重ヤマブキ
(バラ科・ヤマブキ属)

学名:Kerria japonica 'Pleniflora'

英名:Bachelor's Buttons,

Double-Flowered Japanese Rose,

Easter Rose,

Double flowered Japanese Kerria.

原産地:日本〜Korea〜中国



花言葉:気品、金運.....


強烈な日盛りの日を浴びて八重咲きのヤマブキが金色に輝いています。

花径6cm ほどです。

e0322201_12045606.jpg

一重咲きのヤマブキの花径は約3cmです。

e0322201_12045786.jpg

四弁のシロヤマブキ 花径は約4cmです。


札幌市中央区円山にて

e0322201_10091741.jpg

俵屋宗達『桜山吹図屏風』17世紀
東京国立博物館

e0322201_10091822.jpg

(部分)


[PR]
by abdulmajid0922 | 2017-05-22 10:04 | Comments(0)
e0322201_11385452.jpg

日本文学特有の情趣豊かな美しい文章は読者を慰藉するのです。

文中より

・夜空に青い月が出ていた。

・月を見ながら、采女は胸中の寂寥を思った。

・新兵衛は縁側から月を見上げた。

「ひとは大切に思うものに出会えれば、それだけで仕合わせだと思うております」

・政家は駕籠に乗り込もうとしてふと空を見上げた。

星が降るように輝いている。


・篠は胸の中で、「生きてくださいませ、あなたー」

生きて、生き抜いてください。

それが、私にとっての幸せなのです。

あなたが生き抜いてくださるなら、私の心もあなたとともにあるはずです。

形に添う影のように、いついつまでもあなたの傍に寄り添えることでしょう。

e0322201_11385479.jpg

剣術の平山道場の四天王と言われた
坂下源之進
篠原三右衛門
榊原采女
瓜生新兵衛

一人違和感のある名前が采女である。

さては榊原采女殿LGBTであったかと、この名前に何か企みがあると思いながら、勤しんで読了したが別に仕掛けはなかった。

何故、采女という名前にされたのか解せぬ。


.....やむなく藤吾は酒を受けた。
「一杯だけですぞ」
念を押して杯に口をつけた。
それが間違いのもとだった。

唯一、ぷっと吹き出す滑稽な描写です。

夜空の星のごとく、人の世にあっては愛おしい藤吾の若さが燦然と輝きを放つのです。


登場人物たちが若かりし日々を語るとき、著者の技巧に嵌まる読者は、同化してつい昔の友達の顔を思い浮かべ郷愁に誘われ胸が熱くなり、ここに『散り椿』の滋味が増すのです。



椿のみならず、人の命のみじかくも美しい輝きを露草や螢に見出した文章があります。

『螢草』より

....露草は螢草とも言う.....

「螢はひと夏だけ輝いて生を終えます。
だからこそ、けなげで美しいのでしょうが、ひとも同じかもしれませんね」
.....。


e0322201_11385524.jpg

「五色八重散椿」
撮影日:2016年3月18日

東京都中野区を散策して都立家政駅に向かう途中、若宮の住宅街で偶然発見した「五色八重散椿」です。

速水御舟『名樹散椿』の知識がありましたので目の前に突然現れますと白昼夢を見ているのか、頭の中で頓珍漢と鳴ったようでした。
だって、一本の木に紅色、桃色、白色、それに様々な絞りが混在して咲き誇っているのですから、それは、それは現とは思えない夢見るような心地よい初体験でした。


「五色八重散椿」が咲くところをもう一ヶ所、

新宿区原町2丁目
「有島武郎旧住居跡」の記念碑裏側の敷地内に植えられています。

e0322201_11385569.jpg

速水御舟『名樹散椿』重要文化財
二曲一双 山種羙術館

葉室 麟「散り椿』の装画に使用されました。

[PR]
by abdulmajid0922 | 2017-05-10 11:32 | Comments(0)
上野公園、神宮外苑等、都内の名所がふんだんに登場し東京都民にとっては臨場感溢れる世界が展開され、読者サービスに富む娯楽性豊かな作品です。

会話に出てくる地下鉄の千駄木駅からは、団子坂を連想し、森鷗外、夏目漱石ゆかりの地を逍遥したことを思い出しました。

e0322201_11564775.jpg


妻から

「....バカじゃないの?」と言われた夫の語りは

「....長年一緒に暮らしてると、奥さんっていうのは旦那のことがうっとうしくなるらしい。

家で大きなクシャミされるだけでも殺意覚えるって。.....

結局、結婚生活なんてどっちかが我慢して初めて成立するもんだし、とすれば、我慢なんて現代の人間が一番不得意で、できるわけないんだし、結局、.....。」


著者自前の結婚観を述べているようです。


.....男が響に抱きついてきた。


.....響は謙一郎の膝に手を置いた。


ラスト一行に本作最高の美の世界が表現されています。

e0322201_11564866.jpg

画像:所 幸則『EINSTEIN ROMANCE』

氏の写真に音をつけるなら
シド・ヴィシャスが唄う♪マイ・ウェイがよく似合う。



いつの時代にも現代語があります。

文中より

「サンドイッチ、これしか残ってなかったっすけど」

「なんすか?」

「今日は観光っすか?」


明治時代の現代語は、

夏目漱石『門』1910年(明治43年)
朝日新聞の連載小説

......
「あなたそんな所へ寝ると風邪引いてよ」と細君が注意した。

細君の言葉は東京のような、東京でないような、現代の女学生に共通な一種の調子を持っている。.....(青空文庫)

e0322201_11564936.jpg

チューリップが咲く
上野公園 東京国立博物館前の噴水広場

本館を望む左手に法隆寺宝物館があります。

撮影日:2016年1月3日 気温21℃

e0322201_11564940.jpg

吉田修一『国宝』2017年(平成29年)朝日新聞小説連載中

題字には意味深長な二つの「玉」を強調し読者には頽廃的な薫りを感じさせ、
あまつさえ文豪谷崎潤一郎が偲ばれる語り口なのでござります。

著者でさえわからぬのに読者は今後の展開を自分の好きなように勝手な想像をしてしまう。
莫迦みたい。


[PR]
by abdulmajid0922 | 2017-05-01 11:50 | Comments(0)