思うままに


by abdulmajid0922
カレンダー
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

<   2018年 01月 ( 2 )   > この月の画像一覧

e0322201_10194440.gif
高麗人がこよなく愛した木槿を随所に際立たせた本書。

十九歳のとき、「蛮族の王の奴婢になりたいか」と利休が恋した娘に訊くのであるが、日本を「蛮族」と称することは読者からいろいろ意見が湧き出てくるところである。


聚楽第 利休屋敷の一畳半の茶室の軸も花もない床の間に木槿の一枝をお供えして、十九歳で出逢った忘れじの高麗の高貴な女を偲びつつ自害した七十歳の利休。

直感でわかる、
妻宗恩の腹は煮えくりかえるのである。



......聚楽第、摘星楼の八畳の間。

金箔貼りの床の間。

床には、かきつばたの花。

堺の今井宗薫のしつらえは尾形光琳の《燕子花図》屏風を髣髴するのである。


伝統的な雅の茶の湯と侘び茶の茶の湯の世界を堪能できることを期待して楽しみながら本の頁をめくっていくと現れた細川忠興と妻玉子との性描写。


 400頁を読了させるには、性描写を入れないと本は売れないとの出版社側の意向が反映されているのであろう。



...,,ガラシャのすがりついた爪が、忠興の肩にくいこんだ。

というくだりでは、既に、

三島由紀夫が二十五歳で書いた『愛の渇き』を思い出す。

秋祭り、狂おしい揉み合いの半裸の男たちの中に入り込み、惚れた男の深い底知れない海のような背中、そこへ身を投げたいとねがった女が深く爪を立てる描写があります。

e0322201_10202169.gif
・西ヲ東トの章では、
つい言わずもがなのことを口にしてしまう山上宗二 。

利休に口ごたえをする山上宗二が
滑稽でもあり、愛おしくもあり反面教師として、処世術が書かれています。


・名物狩りの章では、
湯気のなかで抱き合えば、閨とはちがってまた興が高まるとおそらく著者の嗜好を挟み、忠興と玉子とにつづき、利休と宗恩との性描写を描き読者サービスを展開しています。


♪利休鼠の雨が降る....

鼠色の道服を着る利休が登場し、
本書ではいくつも、いくつも新しい発見があり、読書はやはり楽しいなぁと思う次第です。


[PR]
by abdulmajid0922 | 2018-01-13 10:18 | Comments(0)

e0322201_10470220.gif
鎌倉時代の僧侶、
『親鸞』(1173~1263)を読むと、ボロをまとい托鉢をする中世イタリアはアッシジの聖フランシスコ(1182-1226)が脳裏に浮かんできます。



四依(しえ)とは
僧たるものの守るべき心得


・食は行乞(ぎょうこつ)に依(よ)れ。

・衣は糞掃衣(ふんぞうえ)に依れ。

・坐は樹下(じゅげ)に依れ。

・病は陳棄薬(ちんきやく)に依れ。



法螺坊弁才はいう
「....いまこそ、釈尊の教えの第一歩にもどって出なおすことが必要だ。

仏法二千年の垢を洗いおとして仏陀の初心にもどるのだ。

すなわち、人はみな平等である。

....。

この世に生きることは苦しい。

心と体が痛む者を助けなければならぬ。

よりよく生きる道をさがそう。

そしてよろこびをもって生きよう。.,,,」


聖フランシスコが語っているようで、
洋の東西にかかわらず人類の考えだすことは同じなのだとつくづく思う次第です。

e0322201_10474933.gif
本書『親鸞』は、
読者の対象をを女性に絞ったかのごとき若く美しい僧侶たちが登場します。


むずかしい題の印象をやさしいひらがなを多く用いて、新しい読者を開拓すべく女性好みに仕上げた大変読みやすい作品です。


本書に登場する美男子たち..,,


1) 美貌の少年、本名伏見平四郎、
《六波羅王子》は色白で痩身、朱のような唇。

泣く子もだまる残酷な美少年。

絵から抜けでてきたような美しい若者であるという。


2) 範宴に三年おくれて入山した学生(がくしょう)の身分の《良禅》は美しい姿。

その声に山の鶯までもが、鳴くのをやめてききいると噂されるほどの美声である。

横顔が若い女性に見えて、思わずどきりとすることもあった。

.....とりわけ美しい少年だった良禅も、しばしばあやうい目にあいそうになることがあった。

夜目にも白い良禅の顔が、花がほころぶように微笑した。

夕餉をはこんできたのは、若い良禅だった。

一瞬、範宴は美しい仏を見たのではないかと錯覚した。


3) 都の吉水にある法然上人の
草庵の廊下にいた《若い僧》のひとりが抜けるように白色の、鼻筋のとおった美しい僧である。


4) 法然坊源空の高弟、ひときわ凛々しい顔立ちの《安楽坊遵西》

絵にかいたような整った顔だちと、とびぬけた美声の持ち主である。

女のような長いまつ毛。

翳ったようなまつ毛の奥の黒い目と、薄紅色の頬と、やわらかそうな下唇のふくらみ、

その白い頬にかすかな血の色がさして、うっすらと紅をはいたようになっている..,,.なんと美しい....。

蓮の花がひらくように美しい笑顔を見せて去った。



まるで紫式部の『源氏物語』。

女性読者を夢中にさせた《光源氏》のことかと思わせるほど、官能をくすぐる美しい人物描写です。



若い僧たちが妖艶かつ、耽美的描写で登場し、読者が中・高校生男子であれば自らの仏塔が屹立するような著者のサービス精神あふれる性描写をところどころに組み込み、漢字がならぶ仏教界の話をしっかり解説している構成が素人にはとても親しみやすく読了できるのです。


読者の心理を十分、把握している
著者の手練手管に長けた筆致の妙である。


[PR]
by abdulmajid0922 | 2018-01-01 10:45 | Comments(0)