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レンブラント 連作『五感』Rembrandt ‘Senses’ の巻

2019年はレンブラント没後350年


レンブラント・ファン・レイン(1606-1669)は生誕の地ライデンで1624年、18歳のときに自分のアトリエを持ちました。

1624年頃-1625年頃に描かれた ‘Five Senses’ のオリジナル絵画は20×18cmほどのオーク板に油彩です。

『五感』は16世紀以来、人気のあったテーマでした。


北部のヨーロッパ の風俗画の伝統に則った絵を描いています。

題名の言葉に二つの意味を込めて遊ぶのです。

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《眼鏡売り》(視覚の寓意)
"Spectacles Seller (Allegory of Sight)"


イヤリングを付けファッショナブルで信用できない行商人の売る箱に入っている眼鏡を視力の弱い老夫婦がいろいろ見ています。

オランダの言い伝えで「誰かが眼鏡を売る」とは人を欺くことを意味します。
(参考: The Senses (Rembrandt)-IPFS)


(視覚の寓意)ではvisionとobservationとの両方の意味を探っています。


(参考:Spectacles Seller
(Allegory of Sight),
 What Rembrandt Did as a Teenager : 4 of His ‘Sense’ Works 
Are Reunited.  nytimes.com)

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《失神した人》(嗅覚の寓意)
"Unconscious Patient (Allegory of Smell)"

2015年9月22日、ニュージャージー州、Nye&Companyのオークションに登場した作品です。

棚のハサミ、ナイフ、カミソリなどからイヤリングと金のネックレスを飾り付けた男性はイカサマ師で知られた理髪外科医。


毛皮のフード付きマントルを着た、非常に心配している老女は気付け薬を含ませた白いハンカーフを嗅がせているのです。


カラフルなハウスコートを着た若者は右腕を出していることから17世紀では普通の治療法だった刺絡をするまえに失神してしまったようです。


ヤブ医者や老女のことのみならず、
根性のない、ひ弱な若者を嘲笑しています。


この絵だけ上の右角にモノグラムRHFと署名があります。

RHF=Rembrandt Harmenszoon Fecit.
=Rembrandt,son of Harmen,
Made this.
=レンブラント、ハルメンの息子が作成した。
(参考:The Senses(Rembrandt)-IPFS)



*パッと目につく理髪外科医の上着に輝くボタンの画法は数十年後、デルフトのフェルメールの多くの絵画に見られます。

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《手術》(触覚の寓意)
"Stone Operation (Allegory of Touch)"

ネーデルランドに古くからあった寓話に基づいています。

旅するイカサマ師の理髪外科医がショーで見せる愚かな石を除去することによって愚かさを治療するという「石の手術」このような手術は実際には行われていませんでした。

"頭から石を除去する"とは一般に普及していた言葉であり、
愚かで容易に騙される人を嘲笑する言葉です。


カラヴァジェスキの師匠ピーテル・ラストマンの影響かドラマチックなキアロスクーロでしわしわのおばあちゃんが持つロウソクだけの明かりが場面を照らしています。


*被害者の両手の力を込めた握り拳、歯をきつく食いしばって耐える表情が実に痛々しいのですが、
泣き止まない赤ちゃんのようにも見え可愛いらしさが伴っています。


・除去されるのはぼってりした男の腹に収められた財布の中身です。


・理髪外科医(barber-sergeon)は、レンブラントの父親がモデルの可能性あり。
(参考: The Senses (Rembrandt)-IPFS)

*ヒエロニムス・ボス
《患者の石の切除(愚者の治療・いかさま) 1475-1480頃 
油彩/板 49×35cm プラド美術館

150年ほど前に同じテーマを描いています。



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《三人の歌い手》(聴覚の寓意)
"Three Singers (Allegory of Hearing)"

楽しげな高齢の男性と女性の歌い手に加わる後ろの若者はレンブラントと同じ工房の友人、画家のヤン・リーフェンスです。


高齢になっても音楽に関わり、調和のとれた生活を送る理想を暗示しているのです。


男性の毛皮の胴着、老夫人のターバンといい、現代的ではない服装が寓意的な特徴をさらに醸し出すのです。


・"Stone Operation" でロウソクを描きましたから本作では省きましたがここでも、光の描写はカラヴァッジョの影響を受けています。

(参考: Three Musicians
(Allegory of Hearing) 
The Leiden Collection 
theleidencollection.com)


*第五番の作品 (味覚の寓意)はおよそ400年前の展覧会以後行方知れずです。

(参考:  What Rembrandt Did as a Teenager : 4 of His ‘Sense’ Works 
Are Reunited.  nytimes.com)

(画像 : Rembrandt Re-create)

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リ・クリエイトでよみがえる
光と影の世界

フェルメールとレンブラント
オランダの2大巨匠展


by abdulmajid0922 | 2019-01-01 09:44 | Comments(0)