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<   2019年 05月 ( 1 )   > この月の画像一覧

1994年、相原求一朗は帯広市の六花亭製菓株式会社から北海道の名峰を描く連作の依頼を受けました。

六花亭の提案した北海道の名峰9山のうち、相原求一朗は雄阿寒岳と雌阿寒岳を分けて描き《北の十名山》としました。


1995年、喜寿を迎えた相原求一朗はこの1年間で8点の作品を制作しました。


1996年、六花亭が十勝の中札内美術村に開館した「相原求一朗美術館」にて《北の十名山》が収蔵展示されました。


連作《北の十名山》

・本展、北海道立近代美術館の展示順 
・画像は絵葉書を掲載しました。
・文章は相原求一朗が自ら各作品に添えた解説文の抜粋です。

《山峡新緑 羊蹄山》1995年
油彩/カンヴァス 80.3×130.1cm
相原求一朗美術館

・喜茂別という町を過ぎる....。
ふり返ると、はるか山の稜線にうす紫の小じんまりした羊蹄山が拗ねた私をねぎらうように、やさしい姿を見せていた。



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《山麓紅染む 旭岳》1995年
油彩/カンヴァス 97.2 ×130.2cm
相原求一朗美術館

・旭岳は大雪山系の主峰で2290メートル。
.....美瑛側から見るプロポーションが最も美しい。
...,,此処をダムにしようとする工事がいま始まっている。

〈忠別ダムは2007年竣工〉



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《潮騒に屹つ 利尻岳》1995年
油彩/カンヴァス 80.3×130.3cm
相原求一朗美術館

・海底から突如火山が爆発し、マグマを海上高く吹き上げ1700メートルの利尻岳ができたという。
.....錐状の溶岩は見るからに荒々しく、風化の痕跡もないまま、噴火の凄まじさをいまに。

〈利尻島、沓形岬公園からの眺めと思われます〉


《山頂残雪 雄阿寒岳》1995年
油彩/カンヴァス 80.3×130.0cm
相原求一朗美術館

・阿寒湖の湖面には、まだ名残りの氷が点々と浮いていた。
....観光シーズンは、もうま近である。



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《春宵 斜里岳》1995年
油彩/カンヴァス 89.3×130.1cm
相原求一朗美術館

・春の宵、肌をうす紅色に染め黄昏のけだるい大気の中で、ひそやかに呼吸するさまは、宛ら乙女のように清純で、艶やかである。

〈斜里岳の美しさのみならず永井荷風か谷崎潤一郎を髣髴する耽美な文章による山の描写力に驚きます〉


《錦繍装う 羅臼岳》1995年
油彩/カンヴァス 97.4×130.1cm
相原求一朗美術館

・知床横断道路....
霧が跡切れて、見る間に鋭い山頂が顔を出し、やがて黄と紅に彩られたあでやかな広い斜面がゆっくりと、午後の眩しい陽を浴びて姿を現わす。

《春の丘陵 トムラウシ山》1995年 油彩/カンヴァス 89.4×130.0cm
相原求一朗美術館

・丘の彼方、目指すトムラウシが純白の姿で眼下の大地を見下ろしている。まるで童話の世界。
私は神に感謝しながら、心はずませてコンテを走らせた。

《水ぬるむ 雌阿寒岳》1995年
油彩/カンヴァス 80.3×116.5cm
相原求一朗美術館

・時々キーンという鹿の鳴き声がする。
....眼下にオンネトーの白い湖が見えた。



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《雪の平原 十勝幌尻岳》1996年 
油彩/カンヴァス 89.5×130.5cm
相原求一朗美術館

・標高1846メートル、十勝幌尻岳の美しさは冬にとどめをさす。....


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《早暁 十勝岳》1998年
油彩/カンヴァス 112.0×194.0cm
相原求一朗美術館

・大自然の造形は完璧で、神々しいほどに美しい。
何故か年令を重ねるにつれて、この想いが深まるばかりである。....

絵葉書の作品の右下にKyu 1998と署名、日付を書き入れてあります。

絵葉書の裏には1991-1992年の制作と記入してある。

北海道立近代美術館の職員にそこを尋ねると、以下の回答あり。

1994年、六花亭製菓株式会社から北海道の名峰の連作を依頼された相原求一朗は既に制作してあった《早暁 十勝岳》1991-1992年の絵に加筆したが絵は傷んでしまった。

それで1998年に新しく描きなおした第二の作品がこの絵葉書に載ったということでした。

本展の《北の十名山》全作品にぐるりと囲まれて思うことは、山の絵に革命を起こした葛飾北斎『富嶽三十六景』の価値の偉大さを改めて感じ、それに倣ってサント=ヴィクトワール山のシリーズを描き続けたポール・セザンヌに思いを馳せた次第です。

古えより続く山の絵の連作は21世紀を目前に生きた相原求一朗(1918-99)《北の十名山》に継承されていたのです。

天然自然に畏敬の念を持って真摯な姿勢で臨んだ相原求一朗の誠実な人間性がこの連作《北の十名山》からよ〜く伝わり感動しました。



生誕100年 歿後20年
相原求一朗 の軌跡
ー 大地への挑戦 ー   

北海道立近代美術館にて公開中
4月19日〜 5月26日 2019

by abdulmajid0922 | 2019-05-01 09:58 | Comments(0)